Webばんいずな しんぷる!
にゅうりょくされたもじを、たてがきのPDFにするのですよ~
しゅつりょくもーど
PDFふぁいるめい
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ほんぶん
ここにほんぶんをいれるのですよ~
べんりぼたん!:
ぜんぶおきかえぼたん!:
さしえをいれるのですか?
さしえタグをいれてあげるのですよ~
ないよう
たいとる
さぶたいとる
かいたひと
おなまえ
めーるあどれす
うぇっぶさいと
さーくるのなまえ
■ にゅうりょくさんぷる
こちらはにゅうりょくさんぷるなのです。
うえの『ほんぶん』へこのないようをはりつけると、さくせいさんぷるがてにはいるのですよ~。
雨風 雪女たちが暮らす『雪氷の街』の朝は早い。 東の空の下が微かに光を帯びる頃には、雪女たちは既に目覚めて朝食の支度に取りかかっていた。 暑さに非常に弱く、日中に行動の制限がある雪女にとってこれが当たり前のことであり、夏場はこの傾向が特に強くなる。日の出も早さも相まって人間の時間で言う五時過ぎには朝食の準備が終わる頃だという。 朝霧に薄く包まれた街は忙しなく雪女たちが行き交い、この静かな町並みのどこに居たのかと思うほどの賑わいを見せていた。 ――ただし、一見して雪女のイメージから[幾里|いくり]もかけ離れた"ミニマムサイズの雪女"たちが大半であるが…… 小さな雪女たちが朝食を準備する時間にも関わらず外を出歩いているにはわけがある。そのぬいぐるみ然とした体躯では朝食を作るのも一人ではままならない。そこで幾人かが寄り合い共同で食事を作ることになっているためであった。 #改頁# この街を守る結界を維持する'夜の女帝'――命名は修――こと、術者・吹雪の店である『[瑠璃狐屋|るりこや]』から少し離れた所に雪菜が住む家があった。 集落の中心部を通る道に沿うように並んでいた瑠璃狐屋と違い、こちらは郊外の住宅地にある一軒家という趣であるが、やはり『雪女』というフレーズから連想される家々のイメージからは遠く離れている。 あやかしとはいえ、ここに住む雪女たちは半分は人であることは変わりない事もあってか、家屋の内部構造も人間のものとほとんど変わりが無い。 ただし、基本的に寒い。 まだ夏真っ盛りであるこの時期だからこそ肌寒い程度で済んでいるが、ここは暖房設備を必要としない雪女の住処である。真冬なら間違いなく凍えている室温になることは疑いないだろう。 結界の外は熱帯夜で眠れぬ夜だったかもしれないが、この街では複数枚の掛け布団が無かったら普通の人間は寒すぎて眠りにつくことすら難しい。 なお、雪女といえども季節にかかわらず掛け布団は必要とのこと。人と同じく、寝ている間の体温維持のため布団を使用しているとのことであった。 「朝……か……」 雨戸の隙間から漏れた日の光をかざした手で遮りながら、青年こと彼方修は宛がわれた部屋で目を覚ます。 自分の上にあった分厚い掛け布団を捲り上げながら修は布団から身を起こすと、欠伸を噛み殺しながら枕元に置いていた腕時計を手にした。 「ふぁ~……って、おいおい、まだ五時過ぎじゃ無いか……」 夏場のこの時期ならば日が昇っている時間ではあるが、昨晩は早めに寝てしまっていたとはいえ、普段であれば修はこんな時間に目を覚ますことは無い。 寒さで目を覚ましたというほど布団の中は冷たくなかったので、顔に差し込んだ日差しと外のざわざわした雰囲気で目が醒めてしまったようである。 「寝直すか……今日は近くの村までまた歩きだろうし……」 少なくとも昨日降りたバス停までは戻らなくては次の移動がままならない。そもそも本数が少ないバス路線であったため、距離によっては直接近くの人里まで辿り着きたいところではあった。 結界を越える手間を差し引いたとしても、今日もそれなりの移動をしなければならないこと考えるとまだ体を休めていた方が得策だろう。 修は腕時計を枕元に戻して布団に手を掛けたのだが、あの奇妙なぬいぐるみライク生命体ことエコモード雪女・雪菜がいつの間にか布団の前にちょこんと座っていた。 「……おっ? おはようさん、どうかしたのか?」 「おっはよーっ、雪菜っ」 #挿絵:左#yukina_img.jpg 肌寒さで少し体を震わせながら修が布団から半身を起こすと、その声で目を覚ましたのか、ちゃぶ台の上に置かれていたペンダント姿に戻っていたシルフィードからも声が上がる。 雪菜は修に向かって小さな体全体を使って必死に何やらを訴えている――ぺこぺこ頭を下げているところからお願いをしているようにも見える――が、如何せん何やらボソボソと呟いているようにしか見えず、相変わらず修にはその小さな声が意味する言葉を拾うことが出来ない。 「――しょうがない、シル、大丈夫か?」 「一晩休んだから大丈夫……かな? ……うん、オッケーね。っと、ほいっ!」 まるで手品師のような掛け声を入れると翡翠のペンダントから白い光が溢れ、桃髪妖精形態(本人曰く『こちらがデフォルト』)となったシルフィードが宙に姿を現す。 シルフィードは畳に座っている雪菜の顔の前に立つと相づちを打ちながら雪菜の声に耳を傾け始める。 「えっと……なになに……ふむふむ……」 「雪菜はなんて言っているんだ?」 一通り伝えたいことを伝えきったのか、雪菜がシルフィードにお辞儀をしたのを見計らって修が声を掛けた。 その問いにシルフィードは腕を組みながら、 「結界の外に連れて行って欲しいんだって……会いたい人が居るとか……」 ふわふわと宙に浮いたまま難しい顔を見せるのだった。
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